はじめまして。Kyash・プロダクトマネージャーの@araiです。
2018年の締めくくりとして、クレジットカード・デビットカードから金額を指定してチャージできる機能をリリースしました。
その開発の裏側をご紹介することで、Kyashというサービス、会社に興味を持っていただけたら幸いです。
どんな機能か
2018年12月25日に金額指定チャージ機能をリリースするまで、カードユーザーの皆さまには都度チャージの必要がない自動チャージ機能
のみを提供してきました。
一般的にプリペイドカードといえば、その名の通り事前にチャージ(=pre-paid)をして使うものです。Kyashでは「プリペイドカードを超えたプロダクトにしたい」「銀行口座と直結して即座に支払いができるデビットカードに近い存在にしたい」という想いがあり、登録カードを使った自動チャージ機能のみからスタートしました。
一方で、過去に実施した調査によると、「クレジットカードをあまり使いたいと思わない」と答えたユーザーの約70%が、使い過ぎ
が心配と答えていました。
このようなお客さまのご要望に応えるかたちで、コンビニやペイジー、セブン銀行などで現金を事前にチャージしてご利用いただける機能を提供してきたという経緯があります。
キャッシュレス化が叫ばれる中で、カードの使い過ぎに対する懸念は依然として根強いため、
手元のスマホから使いたい分だけ事前にチャージできる、登録カードからの金額指定チャージに対応いたしました。
いざキックオフ
話の始まりは12月3日(月)。時系列で振り返ります。
- 12月3日(月)全社MTG
長い間保留となっていた登録カードからの金額指定チャージ
を年内優先的に進めていくことに。
要件、デザインの変更範囲、開発工数などを明確にするため、まずはデザイナーとPMで大まかな要件とシーケンスを作り始めます。
この時点ではリリース時期はまだ見えていません。(スケジュール全く見えない感)
- 12月4日(火)〜12月6日(木)
サーバーサイドエンジニア、クライアントエンジニアを交え、仕様とシーケンスを詰める。
並行してデザイナーはプロトタイプ作成を進めます。
この時点でもリリース時期はまだ見えていません。(スケジュール結構かかるぞ感)
- 12月7日(金)
プロジェクトキックオフMTG。
エンジニア、デザイナー、リーガル、オペレーション、PM、そして代表・鷹取。
-目的は分かるが、事業視点に寄りすぎていないか、本当に今この機能をやるべきなのか
-Why(課題)に対するWhat(解決)は他にもあるのではないか?
-利用してもらいたい人ってそもそもどういう人?…etc
通常のKyashの開発ステップであれば、「誰の・どんな課題を解決するのか」から始まり、「考えられる解決案」「期待できる効果・懸念点」をクイックにチームで共有した後、一気にリリースまで進めていきます。
ただし、登録カードからの金額指定チャージ
はプロジェクトスタートの背景が特殊だったこともあり、キックオフでの議論は白熱しました。
相手が誰であろうと(代表の鷹取でも)、職種によらずに全員が対等に意見をぶつけ合う。
入社1ヶ月が経過したばかりの私にとっては驚きであり、KyashのValueの一つであるOne team
を感じる瞬間でした。
議論を進めていくなかで、事業視点とユーザ視点が融合した施策であるという結論に至ります。
次はここからのスケジュールです。
2018年最後にチームでやりきるぞ
「年内リリースは現実的ではない。」
iOSアプリ開発に関わる人ならご存知、年末年始のApp Store Connectの停止期間(アプリの審査がお休みになる)もふまえると、年内リリースのために残された期間は9日間
。
年末に問題が起きないように念入りにテストする必要もあり、普通に考えれば当然の意見でしょう。
しかし、エンジニアメンバーを中心に、「ユーザーが喜ぶのが想像できるしやりたいね」「やりきって最高の年末を迎えよう」という声が上がり、自分たちのエゴというか気持ち良さみたいなものを理由に、年内リリースを最後は勢いで決めました。
こういう時に、頂点志向
*1な判断をできるチームに、日々とても助けられています。
開発スケジュール、および万が一遅れが出た場合に年内リリースを諦めるかどうかの撤退判定日の設定をし、キックオフ後から各自動き始めます。
日々揺れ動く進捗
リリース撤退ラインを設定してスタートしたものの、やはりリリースしたい!
という気持ちが強く、
「まだ諦めるには早い・おそらく問題ない」という判断が続き、結果的に一部のメンバーが休日出勤*2して対応することになりました。ここはチームでの課題として反省しています。
原因としては、初動の悪さがあげられます。
毎日共有の時間を設けていたものの、全員が参加できなかったり、いつまでに・誰が・何をしておくかということを、チームで早期に認識を合わせきれていませんでした。
翌週に審査提出を控えた金曜日の夕方に、「このままではまずい」という危機感が共有され、1日単位(日によっては時間単位)でスケジュールを再設定しました。必然的にリリースチェックポイントも増え、まさに綱渡りの日々。
また、やり切った暁には、チームでお肉を食べに行くぞ!という人参を自らぶら下げます 🥕
これがモチベーションになったというメンバーも。
今回の機能追加は、ゴールのイメージをチームで共有できていたこと、そしてリリース時期を決めていたこともあり、削れる機能はとことん排除しました。また、検討漏れがあった場合はすぐに関係者で集まって決めるなどして進めることで、初動の悪さを後半巻き返すことができました。
当たり前といえば当たり前ではありますが、物理的にエンジニア・デザイナー・PMの席が近いことは地味に効果的でした。
そしてリリース
スケジュール通りiOSの審査提出(※Androidは審査無し)、この時期には珍しく?翌日には審査が通り、12月25日のリリースを迎えます。
俺たちに見つけられないバグ、見つけられるものなら見つけてみろ
というレベルまで社内でのテスト(KyashではBug Bash
と呼んでます)を十分すぎるほど繰り返してはいたものの、やはり不安は尽きません。
だからこそ、リリース後のユーザーの皆さんの声は本当に嬉しかったです。
これまでに様々なインターネットサービスに関わり、新規サービスローンチ、新機能や機能改善リリースに関わってきましたが、ここまでポジティブな反響を頂けることは初めてでした。
クレカや電子マネーの「使い過ぎてしまうから怖い」という不安を減らす良い改善な気がする
— Yu Uno / Cookpad Inc. (@saladdays) December 25, 2018
「使った額」でななく「残ってる額」というのが、より財布に近い感覚になるのだろうな
電子マネー普及には利便性向上だけでなく、こういうリアルな不安に寄り添うこともすごく大事https://t.co/dXvh09CTtW
登録カードから金額を指定してチャージできるようになりました - Kyash PR https://t.co/dFC8qt1ItP#Kyash
— 小林優多郎(ゆうこば)@BI Tech (@KobayashiYutaro) 2018年12月25日
おー、いままでできなかったし、うれしい
カードからの金額指定チャージ、完全にkyashからのクリスマスプレゼント
— かわぽん (@kst819) 2018年12月25日
すごい、kyash天才天才
— paru_sfc🌤️時空が歪んだ4ねんせい (@paru_sfc) 2018年12月25日
この使い方したかったの、ありがとう pic.twitter.com/8oulsFDF0S
ウオオオオオオ!!👏🙌👏🙌👏🤝🤝🤝🤝👍👍👍🙏🙆♀️🙏💪✌️🙌🙌👏
— なかざん@Android入門本書きました (@Nkzn) 2018年12月25日
登録カードから金額を指定してチャージできるようになりました - Kyash NEWS https://t.co/D47iJWE717
その他のコメントは以下の通り。
・ 待ちに待った機能がリリース!うれしい! ・ Kyash神アプデ来た!!!
・ 1ヶ月の予算をはじめにチャージして、残ったらkyash内で貯金していくとか色んな使い方できるな。
・ 今までは自動チャージしかできなかったので使い過ぎの心配あったけど、これで安心。
・ これで我が家みたいに使い過ぎを気にして現金チャージしていた人も3%超のキャッシュバックが受けられますね!
・ 待望のクレカチャージ機能。ありがとう
・ 自動チャージも悪くないけど、計画的にという意味では手動チャージをカードからできるという選択肢が増えるは良いですね。
・ 月頭に「今月はこれしか使わない」と決めて、その金額だけチャージする、という使い方はアリかな。
Twitter上での声だけでなく、リリース後の使われ方をデータで見ても上々の滑り出しで、 今までの登録カードを使った自動チャージと、現金を使った一時チャージでは拾いきれていなかった、中間にあるニーズの大きさを再認識できました。
また、最初のリリースには含めなかった、自動チャージ機能のOn/Off機能も、1/21にリリースしました。クレジットカードの使いすぎが心配
という課題に対する一つの解決策は提供できた*3のではないかと考えています。
Kyashの機能開発の裏側を、登録カードからの金額指定チャージを例にご紹介しました。
Kyashでは、毎週金曜日にその週の振り返りを行うKPT
を行っていますが、プロジェクト単位でもKPT
を行う文化が浸透しています。
今回の登録カードからの金額指定チャージについても、多くのKeep
とProblem
があがり、単にリリースをしたことで終わらせず、2019年に入ってからのプロジェクトで早速Try
を続けています。
今後もOne team
で、事業視点とユーザ視点のバランスを常に考え、足元の課題を解決しつつも、まだ見ぬ価値を提供できる、最高のプロダクトにしていきたいと思います。