Fintech企業Kyashによる「決済業界とは?」初級編

この記事は Kyash Advent Calendar 2021 9日目の記事です。

Kyashで事業開発を担当しているnozomuです。Fintech企業Kyashによる「決済業界とは?」入門編という記事を書いて早3年半、ありがたいことに社内外ともに「続きを読みたい!」というご要望を多くいただいたので、今回は初級編として銀行口座から入金(チャージ)をする仕組みについて紹介していきたいと思います。

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銀行口座入金に関わるプレイヤー

まず銀行口座入金に関連してくるプレイヤーの説明です。主に3つのレイヤーに分かれます。

分類 具体例 説明
銀行 三井住友銀行住信SBIネット銀行福岡銀行など 利用者に銀行口座を提供している、メガバンク、ネット銀行、地方銀行など様々な金融機関
システムベンダー NTTデータ、日本カードネットワークなど 銀行の基幹システムと接続しているネットワークの提供会社
Fintech事業者 Kyash、PayPay、メルペイなど 決済や送金ができるアプリの提供会社

NTTデータと日本カードネットワーク(以下、JCN)以外にもシステムベンダーの立ち位置で事業を営んでいる会社は存在するのですが、伝統的に銀行はこの2社いずれかのシステムを利用しているケースが多いです。ちなみにどの銀行がどちらのシステムと接続しているかは、各社のホームページでも確認可能です。

NTTデータ金融機関様一覧
JCN:対応金融機関様一覧

取引構造

もう少し細かい話をすると、銀行口座からFintech事業者のサービスに入金ができるようになるには、(1)銀行口座を登録する(2)銀行口座から入金する、という2つのステップがあります。そのうち(1)は、NTTデータの仕組み(ネット口振受付GWサービス)を介して実現することがほとんどです。

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(ネット口振受付GWサービスHPより)

(2)に関しては、前述のとおりNTTデータかJCNのいずれかを経由するのが大半です。2020年に公正取引委員会が発行している「QRコード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書」でかなり詳細な説明がなされているので、以下に関係する図を抜粋します。

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(QRコード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書 より)

右側にある「ノンバンクのコード事業者」と書かれているプレイヤーを、KyashのようなFintech事業者と捉えてください。①がNTTデータと接続している銀行と連携するパターンで、②がJCNと接続している銀行と連携するパターンを示しているのですが、どちらのパターンでも、金融機関から見るとCAFISというNTTデータのシステムと接続しています。CAFISはカード決済の世界でよく出てくる名前ですが、実は銀行口座入金でも関係してきていることがこの図からわかります。

なお上記の図における③は、一部のネット銀行のように銀行独自のAPIを用意していて、NTTデータもJCNも間に挟まずに接続をするパターンを指しています。Fintech事業者視点で見ると費用面は③がいちばん安いのですが、銀行ごとに仕様が異なるケースが多いので、開発面では大変になることもあります。ちなみに外部システムと接続する際に、エンジニアを含む社内メンバーとどのように動いているかは昨年の記事で言及しているので、もしよければ併せてご覧ください。

ところで、引用しているQRコード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書ですが、前述のとおり発行元は公正取引委員会です。なぜ公正取引委員会が?というと、報告書冒頭の調査趣旨で「キャッシュレス決済分野における競争政策上の課題を把握するため」と記載されており、P.64では以下のように述べられています。

CAFIS サービス全体の取引量及び銀行口座からのチャージ等に係る接続の手段として用いる即時決済ゲートウェイサービスの取引量はそれぞれ増加しており、取引当たりのコストは低下していると考えられる一方で、CAFIS のデータ処理1件当たりの従量制料金の改定は10 年以上行われていない状況がみられた。
銀行口座からのチャージ等に際し、事実上不可欠な決済インフラの料金が硬直的であることは、銀行口座からのチャージ等に係る費用を高止まりさせることにもつながるおそれがあり、ひいては、キャッシュレス普及にとって課題となっている、加盟店手数料率の高さにつながり得るものでもあると考えられる。NTT データからのヒアリングによれば、CAFISの利用料金については、個別交渉により契約約款に記載されている従量制料金よりも安価な料金で取引を行う事例もあるとのことであったが、CAFIS がチャージ等取引に際し、事実上不可欠なインフラであることに鑑みれば、その取引量の増加状況等を踏まえ、利用事業者との交渉を通じて適切に設定されることが競争政策上の観点からは望ましい。

この報告書が発行されたのは2020年4月です。直接的な影響があったかどうかはわかりませんが、同年6月には金融機関やカード会社が支払うCAFIS利用料の値下げが実施されました。

最後に

ここまで銀行口座からの入金について説明をさせていただきました。金融業界はなかなか変化が起こりにくい業界だと思われがちですが、2019年から2020年にかけて実施されたキャッシュレス還元や今回のCAFIS利用料値下げ、今後解禁が見込まれる給与のデジタル払いなど、マクロ環境も含めて風向きが変わりつつあります。そのような状況でガツガツ事業開発をやってみたい!という方や、今日のような業界話をもっと知りたい!という方は、ぜひTwitterMeetyなどでご連絡をください。その他の職種も募集中ですので、お待ちしております!

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