お金の未来とKyashの関わり方 この記事は Kyash Advent Calendar 2025 の25日目の記事です。例年どおり最終日は、Kyash の言い出しっぺの鷹取です。
Mobile Bankingは何を塗り替えるのか から始まり、口座をソフトウェア化する、クラフトマンシップ、Kyashのある暮らし、価値移動のインフラ、そして昨年の ヴィジョンの真価 へ。
毎回テーマは違っても、共通するものは、 「お金と人間の関係を取り戻し、ユーザーの暮らしに貢献する」 という目的に戻ってきます。
今年は、社内からリクエストをもらった「お金の未来」の話。特に、世界中で注目が集まっている ステーブルコイン について触れながら、いまの自分の見立てで書いてみます。
ステーブルコインの意義は安さでも速さでもなく、ファイナリティだと思う
みなさんは、ステーブルコインをお持ちですか?ステーブルコインの意義や特徴などは様々なものがあります。正直なところ、現在の活用範囲において、消費者がメリットを感じるところまでには至っていないと感じています。
代表的ユースケースとして「クロスボーダー送金」が語られることが多いのは、そのとおりだと思います。チェーンのガス代がかかったとしても、既存インフラと比べると圧倒的に安い、そして速い、というのも大きな意義だと思います。
ただ、私がより大きな産業的意義を感じるのは、 ファイナリティ(清算の同期) です。
ファイナリティって何ですかね?辞書には「最終性」や「完了性」といった言葉が出てきます。主語もなくわかりづらいですね。簡単にいうと、「金銭取引が完全に終結すること」を指すんですね。
たとえば、私が借りた 5,000 円を友人に現金で返したとすると、現金自体に金銭価値を有するので、取引はそこでファイナルしてるんです。ただし、世の中が便利になり、お金も姿が変わり、キャッシュレスが浸透すると、電子的な価値(画面上の残高)は動いているのに、同じタイミングで実際の資金が受取手の元に届かないケースも多々あるんです。
当社のようにキャッシュレスのウォレットを提供している場合、ユーザーがチャージを行い、ユーザーの残高は即座にチャージが反映されますが、チャージ資金が当社に入る(当社の銀行口座に着金)のは数日後、または数週間後ということがあります。日本のフィンテック業界においては、特にこのお金の入と出のタイミングを踏まえたサービス設計にすることが、グロースのボトルネックを回避する上でも重要だと感じます。
話を戻して、「データの動き」と「資金の動き」が同期できる要素を兼ね備えたステーブルコインは、価値の移動を従来の銀行口座とは異なる場所(ネットワーク上)で実現することを可能にしたのです。従来はシステム上の数字の羅列だったものが、堅牢性と真正性を担保するブロックチェーン技術によって金銭価値を有する価値として流通ができるようになったということなのです。その意味では、現金を前提として、システムでは補完的なデータの移動が行われてきたところ、新たなプロトコルの発明によって現金の概念そのものがシステム上に構築されたような感覚です。
この話が “机上の理想” ではなくなってきた象徴的な事例として、 Visaが米国で、USDCによる清算(settlement)を本格導入 する、というものがあります。(米Visaがステーブルコイン本格導入 金融機関の資金移動に革新 - Impress Watch)
当社のようにカード会社としての性質を持つ金融機関は、決済利用額をVisaに対して清算(送金支払い)していますが、通常は米ドルや日本円で行います。この送金において米国では正式にUSDC(ステーブルコイン)を受け付けるというものです。
ここで起きているのは、ステーブルコインが「国際送金を便利にする道具」から一段進み、 決済ネットワークの “清算レイヤー” に入ってきた ということです。
現時点では、消費者には変化として伝わりづらい部分が多いのですが、確実に事業者における価値移動の柔軟性は飛躍的に高まると思われ、巡り巡ってこのインパクトは利用者である消費者へも体験的にも経済的にも還元されていくものと考えています。
Kyash はステーブルコイン発行しないの?
先日JPYC社が資金移動業の登録が完了し、日本円として初のステーブルコインの発行が始まるという、業界にとっても大変明るく喜ばしい出来事がありました。同じく資金移動業を保有する当社に対して社内外からステーブルコインの発行予定について聞かれることがあります。
現時点では、短期的にステーブルコインの発行者を目指すのではなく、今まで Kyash が現金とキャッシュレスの橋渡しの役割を努めてきているように、今後はキャッシュレス(フィアット)とニューワールド(ステーブルコインやCrypto)の橋渡しにも貢献できるよう、当社のウォレット事業で様々な取り組みを検討・推進しています。また、ステーブルコインは、当社のBtoB事業で提供している法人送金サービスとも親和性が高いと感じています。
振り返りと展望
今年は、事業の収益改善に一定の目処が立ち、改めて来年からの原点回帰とグロースに向けた足場固めを進めることができた年でした。
個人的には、活躍目覚ましいメンバーやインターンから Kyash で奮闘を続ける PM が事業責任者に昇格するなど、大きな喜びと感謝を感じつつ自身の役割を再認識しながら背筋を伸ばす思いでおります。過去に力を貸してくれた Kyash 卒業生が再び入社して活躍してもらうケースもあり、縁と巡り合わせにも感謝です。
来年は、経営陣やマネジメントと想いを一つにして、組織全体の体温をさらに上げていきたいと思います。良いサービスは、良いチームから。
本年も、大変お世話になりました。 来年も Kyash をどうぞよろしくお願いいたします。どうぞ素敵な新年をお迎えください!!