「お客さまの声」を起点としたサービスの継続的改善

Kyash カスタマーサポートチーム(以下、CSチーム)のすーもです。KyashのCSチームでは、お客さまからの問い合わせ対応や、いただいた要望のプロダクトチームへのフィードバックを行っています。この記事ではKyashのVOC活用について紹介します。

VOCとはVoice of Customerの略称で「お客さまの声」を意味します。CSチームでは、問い合わせフォームに届いたお客さまからの要望をVOCとして収集し、全社に共有しています。

全社に共有する方法は2つあります。 1つはSlackです。「#all-users-voice」というパブリックチャンネルで発信しています。SNSに投稿された要望を有志が見つけて共有することもあり、チームを問わず誰でも自由に発信できる雰囲気があります。

もう1つはAll Handsです。All Handsとは全社員が集まるミーティングで、毎週金曜日に開催しています。一週間で届いたVOCをCSチームから共有しています。 (All Handsについては以下の記事で取り上げいますのでぜひご覧ください。)

note.com

CSチームとしてはVOCを共有する機会に恵まれている一方、共有しっぱなしでプロダクト改善に活かしきれてないという課題がありました。

CSMチームの発足

Kyashの新たな動きとして、2021年4月よりCSM(Customer Success Management)チームが発足しました。CSMチームは受動的にお客さまの要望を満たすためだけにサポートをするのではなく、顧客と自社の成功とを両立させることを目指し、能動的にお客さまに対して働きかけるチームです。

主にVOCの解像度を高めることで、プロダクトに携わる他部署と課題発見や意思決定を早め、プロダクト改善に着手しています。具体的には「問い合わせ体験の最適化」と「VOCをベースとしたプロダクト改善」の2つの業務をリードして取り組んでいます。

VOCはアイデアの宝庫です。今まではCSチームのみがお客さまとの接点を持つだけで、全社としてVOCをもとにプロダクトを良くしていこうという取り組む機会があまりありませんでした。プロダクト開発の優先順位としては新規顧客の獲得や認知拡大の順位が上がりがちで、VOCをベースとした改善にはなかなか手が付けられないこともありました。

そういった環境の中で、少しでも既存の「お客さまの声」をプロダクトに反映させるべく、CSMチームではプロダクトマネージャーやCSチームと共にお客さまサポートにおける問題を解決するCRE(Customer Reliability Engineering)チームなどと連携し、日々プロダクト改善を行っています(実際にどういった施策を行ったかは後半で紹介します)。

VOCの集め方

日々の問い合わせよりお客さまの要望をリストアップする

Zendeskの「タグ機能」を用いて「要望」で絞り込みができるようにしており、その「要望」タグよりお客さまからお寄せいただいたVOCをリストアップしています。

返信時にお客さまより評価いただくCSAT(Customer Satisfaction)の回答から集める

Kyashではお客さま対応の際にCSAT(Customer Satisfaction 以下、CSAT)を取得しています。CSATとは、サービスや製品に対して顧客がどの程度満足しているかを測る指標です。 内容は「サポートに満足しましたか?」の質問に対して「満足」または「不満」を選択後、自由記述を設けてお客さまの意見をいただけるようにしています。いただいた意見を課題別に分析して、その中でプロダクトによる課題をVOCとして反映しています。

主に上記の方法から、不具合など緊急性の高いものに関しては、タスク管理ツールにてチケットを登録します。また、機能に関する要望で、定期的にいただいている意見やリクエストが多いものについては、前述のAll Handsなどで社内向けに「お客さまの声」を発信していきます。

実際にVOCからプロダクトの改善を行ったケースをご紹介します。

VoiceOverの対応

共有口座のリリース後、VoiceOverを使用しているお客さまから使い勝手について問い合わせの中で以下のようなフィードバックをいただきました。

※お問い合わせの内容を社内で共有する際は個人を特定できないように情報を加工しています。

このようなフィードバックは過去にも何度かいただいておりましたが、CSチームのスタッフが「#all-users-voice」チャンネルで投稿したのをきっかけにプロダクトが改善されました。

元々、KyashアプリではVoiceOverを想定した作りになっている画面もありますが、そうではない画面もいくつかありました。また、VoiceOver経由だとアクセスできない画面が存在していました。そこでモバイルのエンジニアにて、必要なコンポーネントに読み上げ用のテキストを設定し、VoiceOverが使える状態にしてもらいました。

そして、同時に今後もVoiceOverが使えるようなプロダクト設計にするため、新規画面などのリリース前には正常に動作するか確認を行った上でPull Requestを出したり、設計の段階でVoiceOverが使われることをできるだけ考慮するフローなども追加されました。担当部署にて修正が開始されてから約1週間程度で作業が完了しました。

FAQへのフィードバック機能の追加

問い合わせ前にFAQを参照して自己解決されるお客さまも多いですが、解決にいたらず一定数は問い合わせに繋がっています。 FAQを読んでいただいて自己解決できたかどうか、あるいはどこで躓いているのかを可視化できるようにしたいと考えました。

調査方法として、「この記事は役に立ちましたか?」の問いに対し「はい」または「いいえ」ボタンを設置し、お客さまからフィードバックをもらい定点観測を行っています。 また、「いいえ」と回答した場合には解決できなかった理由について簡単なアンケートを実施しています。

FAQのフィードバック調査から得た結果を元に、記事の内容を改善したり、クリエイティブの追加を行ったりしています。 変更後は効果計測を実施し、PDCAを回すことでよりお客さまに寄り添った内容へとアップデートしていきます。

<追加したクリエイティブの例:Kyashポイント


今回紹介した事例の他にも、日々たくさんのVOCからサービスをより良くするためのアクションを部門の垣根を越えて行っています。

また、いつもプロダクトの改善につながるフィードバックをいただけていることに感謝しています。もちろんまだ手がつけられていない部分も多く、歯痒い気持ちを感じることもありますが、これからも「お客さまの声」をプロダクトチームに伝え、サービスを改善していきます。

Kyashでは「お客さまの声」を実現していくCREチームをはじめ、一緒に事業を前に進める方を募集しています。

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