Kyash Techチームの展望

こんにちは、Kyash CTOの山﨑です。

3月17日にアナウンスさせていただきましたとおり、49億のシリーズDとなる資金調達を行いました。 このblogでは約2年前のシリーズCの調達からKyashがやってきたことを開発や事業目線で振り返り、今後どういった領域に注力するかということを書いていきます。

シリーズCから今までプロダクトKyashがやってきたこと

2020年3月、シリーズCの直後にtoBのプロダクトとして立ち上げたKyash Directを事業譲渡し、会社のミッションである「価値移動のインフラを創る」をtoCのプロダクトであるKyashで実現していくことを決定しました。 その後、銀行口座からの入出金、カテゴリー(家計簿)、共有口座などバンキングとしての機能を強化してきました。また、券面にカード番号を印字せず非接触決済に対応したシンプルでスタイリッシュなKyash Cardのローンチ、Apple Pay対応、モバイルのみで本人認証が可能な3Dセキュアに対応し、カード決済における新しいユーザ体験をいち早く届け業界を牽引してきました。更に後払いサービス(イマすぐ入金)の提供を開始し、決済や送金に留まらない価値を提供してきました。

事業としては、ユニットエコノミクスの黒字化を達成できました。決済事業のみで持続可能な事業構造を描くのが難しい業界において、大きなマイルストーンを一つ達成できたと感じています。

当時私はKyash Direct事業の開発推進をメイン業務にしていたこともあり、正直に言えば事業譲渡の方針を残念に思いましたが、プロダクトとしてのKyashの進化にフォーカスし、結果を作ってきた点が評価されたことは本当に嬉しく思います。また一つひとつのプロジェクトに対してお客様への価値を真剣に考え、全力で取り組んでくれたメンバーに大きな感謝をしています。

シリーズC以降のKyashのTechチーム

Go言語でマイクロサービスを開発するという基本方針は変わっていませんが、実行環境をAWS Fargate+ECSに移行したり、内部設計はレイヤードアーキテクチャを採用するなど、ある程度自分たちのベストプラクティスが見えてきた状況です。このあたりはマネージドサービスの進化やマイクロサービスの運用、PCI DSSなどシステム監査を組織としてしっかりと積み重ねてきた結果と言えるでしょう。 では課題が無いのかと言ったらそんなことはなく、責務がfatになりすぎているマイクロサービスやデータベースがあるのも事実で、この点は後述する通り改善が必要だと考えています。 また、モバイルチームではビジネスロジックiOSAndroidのプラットフォームに依存しないようKotlin Multiplatform Mobile(KMM)を採用する決定をチームで行いました。組織もiOSAndroidというプラットフォーム毎のチーム構成を廃止し、mobileチームとして統合することでこの推進を後押ししています。

これからのKyashの展望

現時点で金融システムの規制緩和の様々な議論が進んでいます。今年は新しい少額決済インフラのローンチが予定されていますし、資金移動業者のようなノンバンク決済事業者に全銀システムや給与支払いが開放される動きなどもあり、私達のようなプレイヤーはここに対してしっかり準備していくことが必要だと考えています。すでに社会的なインフラを担っている自負はありますが、その責任や影響がより高まっていくと感じています。

そこで、システムのスケーラビリティやパフォーマンス、品質などの非機能要件を更に向上させる必要があると考えています。上で課題に上げましたが、責務がfatなマイクロサービスやデータベースがあるという状況に対するテコ入れが必要だと考えています。しかしエンジニアの数も十分とは言えない状況で、多数のマイクロサービスを運用しきれるのか、ビジネス推進と両立させられるのか、といったポイントとともにこれを進めていくことは個人としてもチーム全体としてもチャレンジになる部分です。

更に不正アクセスへの備えや帳簿書類(お客様の口座にある残高や取引情報のレポート)など、サービスの信頼性の根底となる部分への技術投資も必要だと考えています。不正アクセスや不正決済の検知は業界でもAIの導入が進んでいますし、帳簿書類は1円でも誤差が許されない領域です。この分野のクオリティを更に上げるためのソフトウェアやミドルウェア、もしくはマネージドサービスの導入を推進したいです。

そして注力したいポイントがもう一つあります。それはITガバナンスやセキュリティ領域です。 リスクや脅威は、外部はもちろん内部からも起こりえます。お客様の資産をお預かりし社会的なインフラを担う責任があるサービス提供者としては、両方を適切にリスクマネジメントをする必要があります。日々お客様へ価値を届けようと頑張っているメンバーが、内部不正のリスクや疑いを負わないようなガバナンスの整備を更に強化したいと考えています。また、外部からの攻撃手法の多様化や国際化が進んでいる中で、カード情報セキュリティにおけるグローバルセキュリティ基準であるPCI DSSの取得はしているものの、更なるセキュリティの強化を目指しています。

最後に

このblogで開発チームの今後の概要となる部分を書きました。これからサービスとして大きくジャンプしていくためにも、これまで以上にチームを強化をしていきたいと考えています。課題を見つけ解決していきたい、事業貢献を肌で感じたい、自分が使っているサービスを自分で良くしていきたい、技術をスキルアップさせたい、そんなエンジニアの皆さまからエントリーをお待ちしております!詳しく記載できていない箇所も多いので、カジュアル面談でお話ししましょう!

meety.net

meety.net

herp.careers