これは Kyash Advent Calendar 2024 11日目の記事です。
Kyash で Android エンジニアをしている高田(tfandkusu)です。2024年ももうすぐ終わりです。今年を振り返ると、potatotips #87 を始め、いくつかの LT イベントに登壇する機会がありましたが、一番大きい出来事は DroidKaigi 2024 での登壇です。発表した内容はこちらです。
この記事では、私が DroidKaigi 2024 の登壇を通じて得た学びを3点ご紹介します。一連の流れで登場する Kyash メンバーとの関わりを通じて、Kyash における発信活動を支える風土を感じ取っていただけると嬉しいです。
プロポーザルでは、対象者は誰で、何が得られるのかを明確にする
DroidKaigi は事前に最大1,500字のプロポーザルを提出し、運営による審査を経て、採択されると登壇の機会が与えられます。2024年は281件のプロポーザルが提出され、その中から48件のセッションが採択されました。採択率は17%と、採択には運1も必要に思えます。しかし、採択されやすくする方法があり、DroidKaigi 公式でこのような記事が公開されています。
他にも iOSDC の実行委員長によるこちらのスライドも参考になります。
いくつかのポイントが重要とされていますが、今回の学びとして、まずは以下の1点に集中すれば良いと感じました。
対象者は誰で、何が得られるのか
これを学んだきっかけは、6月に開催された Kotlin Fest 2024 のプロポーザル作成のときでした。私は以下の内容でプロポーザルを提出しました。
結果、不採択だったのですが、弊社モバイルメンバーにプロポーザルのレビューをお願いした際、 tamadon さんから頂いたコメントが非常に参考になりました。また、コメントに登場する jun-san は弊社のコーポレートエンジニアです。
このときの経験は DroidKaigi 2024 のプロポーザル作成にも活きました。結果として、以下のような対象者と得られることを明確に打ち出した言葉を添えるプロポーザルに仕上げることができました。
対象者
これから新たに Android アプリを開発したり、今後データ分析を強化したい Android エンジニアに向けて、以下のことを説明します。
得られること
データ分析という観点から、事業貢献を加速する Android エンジニアを増やすことを目指します。
私の頭の中に当時の総理大臣が居たので2、その方が言いそうな言い回しになりましたが、採択されて、200人ほどの聴講者が来てくれて良かったです。
ひとりで発表準備をしない
この節では、同じく DroidKaigi 2024 で登壇した弊社執行役員 VPoE の Konifar さんが冒頭で紹介していた、私の採択時ポストの裏話をします。
DroidKaigi 2024 でこちらのプロポーザルが採択されました。
— 高田 晴彦 (@tfandkusu) 2024年6月14日
「データに基づく意思決定を支える、Google Analytics for Firebase のイベント送信」
Kyash 社の総力を挙げて最高の発表にします。何卒よろしくお願い致します。
Konifar さんの発表の中では、メンバーにプロポーザル提出を推進するパッションの体現として、このポストが紹介されていました。確かにそのパッションはありましたが、実はこのポスト自体は、まったく別のモチベーションから生まれたものでした。
ここでは、今だから紹介できる話として、採択時の社内 Slack ポストを紹介します。
よって今回は7月から2ヶ月半に渡り多くのメンバーからフィードバックを頂きながら、発表準備を進めました。フィードバックの内容は Kyashfm で収録しました。まだ公開されていませんが、気になる方は公開をお待ち頂けると幸いです。
DroidKaigi もアンケート結果が気になるところです。もし可能なら自分の今後の改善のためにもぜひ確認できるといいなと思っています。いずれにせよ、もし技術イベントで発表する機会があれば、余裕を持って準備を進め、メンバーからのフィードバックを積極的に取り入れて完成度を高めることをオススメします。
社外からのご意見
代わりにここでは発表内容に対する社外からの好意的なご意見を紹介します。ありがとうございました。
プロポーザルに内容を盛り込みすぎない
DroidKaigi の採択率は例年2割弱です。そのため、ほぼ採択されない前提で、「とにかく送れるものは送っておいて、発表のことは運良く採択されてから考えれば良い」というスタンスでメンバーにもプロポーザル提出を推進してきました。しかし、実際に採択されてみて、この考え方は改めるべきだと感じました。プロポーザルに内容を盛り込みすぎた結果、発表準備が大変だったからです。技術検証やサンプルコードの作成に多くの時間が必要になりました。
プロポーザルには以下の文言が含まれていました。
- iOS / Android でイベント名を合わせるための仕組み作り(Kotlin Multiplatform によるコード共通化やコード自動生成を用いたソリューションを紹介)
- イベント送信実装抜けを防ぐための仕組み作り(Konsist や detekt を用いたソリューションを紹介)
今振り返ると、プロポーザルには「コード自動生成」と「detekt」の2つだけを書けば十分でした。この2つだけでも課題解決には十分で、発表内容として成立します。しかし、プロポーザルに記載したからには触れないわけにはいかず、「Kotlin Multiplatform」と「Konsist」についても、最後の補足で少し触れる必要がありました。最初の2つだけでもサンプルコード作成は大変でしたが、追加で技術検証とサンプルコード作成が必要となり、さらに大変になりました。
しかし、私は仕事以外の時間はスプラトゥーンを楽しむくらいで、時間には比較的余裕がありました。そのためスプラトゥーンをお休みするだけで発表準備を無事に完了させることができました。
しかし、子育てなどで多忙な生活を送られている方の場合、プロポーザルが採択された時に備えて、発表準備にどのくらい時間がかかるかを事前に見積もることをオススメします。
エンジニア募集中
弊社 Kyash では、例えば発信活動に積極的に取り組みたいエンジニアを募集しています。
- 弊社執行役員 VPoE の Konifar さんは、DroidKaigi 2016 〜 2020 で5回連続で採択され、さらに今年も採択されました。本当にすごい実績です。↩
- 「生成AI系のサーモンラン実況」が好きです。↩