EM半年の振り返り、プレイヤー脳を捨てきれていない自分へ

これはKyashアドベントカレンダー2025の3日目の記事です。
昨日は 田中さん[入社エントリー]Kyashに入社しました でした。

はじめに

こんにちは、KyashのモバイルチームでEMをやっている加藤(@nitakan)です。
この記事では、EMになって5ヶ月くらい経ったけどプレイヤー脳を捨てきれていない自分への振り返りです。

元々KyashのモバイルチームEMは @_rmakiyama が担当していましたが、彼が育休を取得することになるのと、自分のキャリア的にも挑戦したらどうかということで任せてもらうことになりました。

今のKyashは所謂マトリクス型の組織で、縦に事業部、横にエンジニアリング部とモバイルチームがあります。

今は、横軸では「モバイルチームのEM」でありつつ、縦軸では「ウォレット事業部のメンバー」という立ち位置で働いています。

この記事でいう「プレイヤー脳」とはなにか

タイトルの「プレイヤー脳」とは、コードを書いているかどうかだけの話ではないです。
EM になる前は事業部チームで開発リードのような動きをしていました。

  • PdM と要件・仕様の壁打ちをする
  • 仕様の背景や制約を一番理解している状態でいる
  • プロジェクトが止まりそうなところを全部拾って前に進める

EM になってからも、その延長線上で動いてしまっていることに気が付きました。

  • PdM と要件の壁打ちを自分が受ける
  • テスト観点を自分で作る
  • プロジェクトが前に進むように、雑務を自分が拾う

開発作業は任せていてコーディングはあんまりしていないのに、「不確実性の高いが誰かがやらないといけない部分」を自分が前線で抱え続けている状態です。 この「自分が前線で動かないといけない」といった考えをプレイヤー脳と表現しています。

EM になって一番きつかったのは「チーム目標を 4 ヶ月決められなかったこと」

2025年7月に EM になって、一番きつかったのは モバイルチームとしての目標をなかなか決められなかったことでした。
このチームは何をするチームで、何ができるようにならないといけないのかというものを定義できないまま、日々を過ごしてしまっていました。

Kyashは7月が下期の開始で、本来なら就任後すぐに下期の目標を決める必要がありました。
でも実際に目標を決められたのは10月の終わりで、下期開始から4ヶ月遅れでした。

理由を振り返ると、こんなものかなと思います。

  • EMとしてどう動き始めたらよいのかわからなかった
  • モバイルチームとエンジニアリング部の目標をどう紐づけるか答えがなかった
  • 「モバイルチーム」が何をするチームなのかが自分の中で言語化できていなかった

結果として、メンバーはそれぞれ事業部に貢献はしているけれど、モバイルチームとして「どこに向かっているのか」というのが曖昧なまま4ヶ月を過ごしたことになります。 モバイルメンバーは皆優秀で自発的に動けるメンバーばかりなので、その点に甘えていた自覚があります。 EMとしては良くない動き方であることはわかっていて、無為に過ごしてしまった4ヶ月はこのタイミングで残しておきたい反省点です。

カレンダーを数字でみたら、「不確実性を抱え込む時間」がやたら多かった

自分の時間の使い方を把握するために、11 月の 4 週間分の予定にラベルを付けて集計してみました。

4週を平均すると週あたりの合計は35\~45時間程度(祝日が多かったからね)。
内訳的にはざっくり平均でこうなりました。

  • 事業部 MTG:週 10〜15 時間(およそ 30%前後)
  • 1on1・モバイルチームマネジメント:週 3 時間弱(7%前後)
  • エンジニアチーム MTG:週 2〜4 時間(7〜10%)
  • 全社 MTG:週 1.5〜2 時間(4〜5%)
  • 作業:ほぼゼロに近い
  • 残り(ラベルが付いていない時間):週 15〜20 時間(40%強)

※これは11/3週目

リモートワークなので、カレンダーに登録されているのはほぼMTGになっています。
「残り」の時間は、何もしていないのではなく、どちらかというと作業のような

  • 要件からの検討・整理
  • テスト観点の洗い出し
  • プロジェクトが進むように雑多なタスクを処理する
  • 次のプロジェクトのための調査
  • 問い合わせ対応

といったことに使っていて、事業部に関連したことが大半だったように思います。

これらはどれも「不確実でグレーな部分を、自分が前線で処理し続ける仕事」です。
「プレイヤー脳」のまま、EMになっているというのが数字からわかりました。

EMをやる前と変わってなくね?と感じたこと

ある案件で、PdMとの要件調整や経営層との検討を自分がやっていて、「開発のオーナーは◯◯さんです」と言いつつ、外から見ると完全に「加藤がやっている」になっていたことがありました。
後から振り返ると、そのときメンバーに残っているのは「言われたタスクをこなした記憶」だけで、不確実な仕様をどう整理したか、ステークホルダーとどう握ったか、といった部分は全部自分のところで止まっていました。
このときに、「EMというより、プレイヤーの延長線上で全部抱えているだけだな」とかなり強く感じました。

なぜ「不確実性を抱え込む EM」はチームにとってマイナスか

不確実性があるプロジェクトを自分が推進して進めていく事自体は良いことではありますし、短期的には機能すると思います。

  • プロジェクトが止まりにくい
  • 関係者のストレスが減る
  • PdM から見ると「話が早い人」になる

ただ、やっていることをもう少しバラしてみると、

  • PdM と「自分との間」で要件・仕様が完結する
  • 「自分が」テスト観点まで整理してからタスクに落とす
  • メンバーは「不確実性が減らされたタスク」を担当してもらう

といったことをやっているのですね。
こういったことをしてしまうと、長期的にはデメリットになるなと感じています。

事業部チームへのマイナス

  • メンバーが「要件の背景・トレードオフ・グレーな判断」に触れる機会が減る
  • 不確実性をさばく経験が自分にだけ集中する
  • 「案件のフロントマンになれる人」がチームに育たない
  • 結果として、自分が詰まった瞬間にチームも詰まる構造になる

要するに属人化の完成で、メンバーが育たない組織になってしまうことになります。

モバイルチームへのマイナス

EMの打診を受けたときに、このようなミッションをもらいました。

にも関わらず、上記のような状態はこのミッションと真逆の動きをしていることになります。

  • 不確実な要件・テスト観点・調整の知見が、モバイルチームに横展開されない
  • メンバーは要件定義やテスト設計、ステークホルダー調整といった業務にふれる機会が少ない
  • 事業部側のタスクに手を取られてしまって本来の役割であるモバイルチームを引っ張ることができていない

「個人で成果を出せている」との評価があるのに、そこにしがみついているような状態になっていて、本来のチームを強くするミッションを進めていないのが現状です。

遅れてしまったけど、「モバイルチームの意義と目標」は決めた

そんな中でも、進められたことがあります。
それは、モバイルチームの存在意義と、少し長い時間軸での目標を言葉にできたことです。

  • Kyashの中でモバイルチームは何をするチームなのか
  • 誰に、どんな価値をどんな形で届けるのか
  • そのために中期的、短期的に何を積み上げるのか

これを4ヶ月も遅れてしまいましたが、モバイルチームのメンバーと一緒に決めることができました。
メンバーからは「皆が感じている課題感が可視化されてよかった」や「いい着地ができたと思います」といった声をもらえたのでやってよかったと思いました。

ただ、これはやっとスタートラインに立ったようなもので、本来ならもっと早くやるべきだったことでした。

EM として 2 点 / 10 点

色々な記事や本がある中で、EMとしてはまだまだ「やるべきこと」ができていない、理解できていないです。
その最中でも最低限チームの方向性を決めることができたことは加点したいなと思ってこの点数にしました。

もちろんチームや状況によってやるべきことは変わっていくとは思いますが、まだまだ伸びしろがあるという点数としています。

これから半年でやること

自分はマトリクス型組織の中で、「事業部のメンバー」と「モバイルチームのEM」として動くことがありますが、これから半年は「モバイルチームを強くする=モバイルチームの力で事業にインパクトを与える」ことに軸足を置くつもりです。

やることは3つです。

1. 事業部側の不確実性を事業部チームに開放する

まず、事業部側での働き方を変えます。

  • PdMと自分で考えるという構図をやめ、チームで話して考えるようにする
  • 不確実なものを自分で決めず、不確実なままチームで議論する
  • 要件整理をチームメンバーができるように任せる
  • 自分自身の役割を限定的にする

つまり、自分がやっていたことを「チームができる」状態に変えていこうと思います。
これは自分が使える時間を解放することも意味します。

2.事業部で得たナレッジをモバイルチームの共通資産にする

モバイルチーム目線では、ここがあまりできていないことが弱点だなと思っています。

  • 要件をチームで決める方法
  • 要件とテスト観点の作成
  • 開発のTips
  • 他部署との関わり方

といったナレッジをモバイルチームでの共通資産にしていく。

3.「モバイルチームを強く」する方法を考える時間を作る

これは結構ざっくりとしたものですが、自分の時間の配分を、タスクではなく「役割」ベースで設計し直すのが必要と感じています。

今は「その場で発生したタスク」に時間を取られがちなので、もう少し 意図的に役割ベースで時間をブロックする必要があると感じています。 現状ほぼ無い「モバイルチームマネジメント」の時間を増やし、チームの成果やメンバーの成長というところに時間を割けるようにしていきます。

例えば、週に2時間は予定をブロックしておき、EMとしてチームについて考える時間を確保する、といったことをするつもりです。

終わりに

EMになってからの数カ月を振り返ると、役割名だけ変わって、あんまり中身は変わっていなかったなとはっきり認識する時間だったなと思います。
今までやってきていたのは、「個人としては成果を出しているけど、チームとして力を出せていない」といった動き方でした。

この記事は「EMをうまくやっている話」ではなく、「EMになったけどまだプレイヤー脳のままだと気づいた話」のログです。
半年後にこれを読み直したときに、「あの頃まだこんなことで悩んでたのか」と思えるのが一番の理想です。

もしこの記事を読んでいる人の中に、「プレイヤーから EM っぽい何かになってモヤモヤしている人」がいたら、自分のカレンダーを色分けして現実を見るのが良いかもしれません。 自分がどこでプレイヤー脳を手放せていないのかは、だいたいそれで見えます。

あとは、ここに書いたことを「そういえば昔こんなこと考えてたな」で済ませるのか、実際に行動を変えていくのかだけです。
次の一年で、「プレイヤーとしてどうこう」ではなく、「モバイルチームとしてちゃんと強くなった」と言える側に寄れているかどうかを、またどこかで確認しようと思います。

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ここまで読んで、「未完成なチームを一緒に強いチームにしていくのもおもしろそうだな」と思った方がいたら、ぜひお話ししましょう!

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