この記事はKyash Advent Calendar 2019の25日目の記事です。
Kyash Founder & CEOの鷹取です。
「チャレンジャーバンク」「デジタルバンク」「ネオバンク」様々な呼称でBanking業界の潮流が語られますが、根底にあるのは「Mobile First」であることだと考えています。その「Mobile Banking」の意義について私の捉え方を書こうと思います。
出典:internet of business
「ネットバンク」?「Mobile Banking」?
「Mobile Banking」や「デジタルバンク」というワードが飛び交って久しい。これらによって、一体何がどう変わるのか? 「ウェブで残高を見る」なんて今でもできるし、「銀行振込」だってシステムで行われている。 よく投資家から受ける質問にも、「Kyashがやろうとしていることはネットバンクと何が違うのか?」というものがある。
先に結論を書くと、「何を進化させてきたか? 何を進化させていくか?」という観点から次のような違いがある。
「ネットバンク」= 従来の支店ベースの銀行が機能提供をインターネット経由で行えるようにする(コスト構造の進化)
「Mobile Banking 」= お金の動きをいつでもどこでも把握でき操ることができる(体験の進化)
である。
冒頭の疑問「ネットバンクとは何が違うの?」はもっともな疑問だと思う。しかし、その本質において、やはりそこには、大きな違いがあるのだ。
一般的には、「Mobile Banking」は、支店を持たない運営体制を敷いている。そして、オンプレ(サーバーやソフトウェアなどのシステムを企業などの組織が管理下にある設備に置おいて、運用していること)にではなく、クラウドでのシステム構築などの設備投資をする体制を取っている。こうした体制に支えられることで、ユーザーに近い立場でのユーザー体験設計に注力ができ、マーケティングによる獲得費用を大きく下げられているのだ。 ちなみに、一般的に金融機関のカード会員獲得単価は約2〜3万円、銀行口座の獲得単価は約10万円前後である。
これらの違いからも、「Mobile Banking」には、従来の銀行サービスを「Mobile」に載せ変える以上に大きな変革をもたらす可能性があることが感じられるはずだ。
ここから先は、「Mobile」がもたらすもっと根源的な変化について書いてみたい。
「Mobile」は、何を変えるか?
「Mobile」は、「Banking」にモビリティをもたらす。つまりこれは、いつでもどこでも、「お金の出入り」や「お金の状況」に直感的でリアルタイムなアクセスができることを意味する。これができるようになったとき、今までよりも格段に、暮らしの中で「Banking」が果たせる役割は増えていくだろう。大きな金額の取引や不審な取引があった際にリアルタイムで通知が届く、電車の待ち時間に友達への送金が完了する、1タップと顔認証で口座の状況が一望できる、など従来の決済や送金という領域の中においても大きな変化が起きていくと思うのだ。
この変革を何かにたとえるならば、手紙しかなかった時代に、電話が生まれてきたときの変化に近いように感じる。また、この文脈において「ネットバンク」を当てはめるのであれば、ワープロが適当なたとえかもしれない。手書きしていた原稿を電磁的に作成することができはするけれど、相手への伝達においてはその原稿をプリントアウトして郵送する必要がある。意志の伝達においてリアルタイムではないのだ。
上記をまとめると、「Banking」をスマホを使って提供することが「Mobile Banking」なのではなく、「Banking」にポータビリティをもたらした状態を創れることこそが「Mobile Banking」だと考えられる。すなわち「Mobile Banking」は、圧倒的にわかりやすく直感的なユーザー体験と、活躍できる役割の広さにおいて、ユーザーから信頼を集めなければならない。それらの信頼が集められて、はじめて実現し得るものなのだと思うのだ。
ウェルビーイングを設計するKyash
私が創業したKyashでは、Bankingの領域がもたらしうる大きな可能性を強く信じている。「テクノロジー・デザイン・ビジネス」の3つの観点から、人びとにとってのこれからの金融サービス、ウェルビーイング(精神面、身体面、社会面で良好な状態)を設計していきたいと考えている。Kyashは金融業界にありながら、人びとの可能性に満ちた明るい未来をサポートするライフスタイルサービスであろうと、チャレンジを続けてきた。新しい産業革命期における、「価値移動のインフラを創る」という大きなチャレンジである。そして、この挑戦はこれからも続いていく。未来に向けたビジョンについての詳しい話は他の機会に譲るが、私たちKyashの挑戦に参画したいと考えてもらえる人には、是非、Kyashのオフィスを訪れてほしい。そしてKyashメンバーの話を聞いてやってほしい。共にウェルビーイングな社会を創れることを願って。
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